バスケットのユニフォームを見たときに真っ先に目に飛び込んでくるのは何でしょうか。
まずは色ではないでしょうか。その次に模様などのデザイン。ユニフォームの胸にあるチーム名と選手番号、背中の選手名と選手番号も、もちろん視界には入っているのでしょうが、試合中にそれをじっくりと見ることはあまりありません。
しかし、こういった数字やアルファベットはユニフォームデザインを構成する重要な要素です。そしてどのような形の文字が書かれるかによって、ユニフォームの印象は大きく変わることになります。
フォントって何？
我々はWebや紙媒体で様々な文字に接しています。その文字の形、つまりフォントに注意を払うことは少ないかもしれませんが、どの媒体も注意深くフォントを選んでいるのです。日本語のフォントで言えば、明朝体なら文章に向いていて、ゴシック体は見出しなどに使われることが多くなっています。
駅の表示に使われているのはゴシック体。
アルファベットでも同じです。長文を読むときに目が疲れないフォント、文章には合わないけれど見出しなどで人を引きつけるフォント、質実剛健な雰囲気を醸し出す重厚なフォント、ブランドのロゴで使われる高級感あふれるフォント。活字の文化が生まれてからこのかた、様々なフォントデザイナーたちが工夫を凝らしてフォントを作り出してきました。
バスケットのユニフォームも同じです。チーム名や選手番号に使われるフォントは、バスケットチームの顔として大きな役割を果たします。近年のNBAのユニフォームにはどのようなフォントが使われているのでしょうか。
チームごとに異なるフォント
NBAのユニフォームは、基本的にはオリジナルのフォントを使っています。出来合いのフォントで間に合わせるようなことはしません。
選手番号ひとつとってみても各チームごとに特色が出ています。手書きでもないのに数字に特色など出るのだろうかと思われるかもしれません。しかし、その文字に目を凝らしてゆくうちに、素晴らしい才能を持ったデザイナーが全身全霊を込めて作り上げたフォントが、いかに個性的な顔をしているのかに気づかされます。
フォントは実用性の面だけから言えば選手番号が見えやすければいいのです。二階席からバスケの試合を見たときに、ユニフォームに書いてある選手名がはっきりと見えることは少ないでしょう。
しかし、ユニフォームのフォントには、そのチームの哲学が詰まっています。大きく変更してチームカラーの刷新を図ったり、むしろそのまま変えずに伝統を重んじていることを示したり。サードユニフォームで昔のフォントを復刻することで、名選手がいた時代を懐かしむバスケットファンもいることでしょう。
後半に続く
NBAバスケユニフォームのフォント | 後編
ページビジュアル Jermy Keith より
