さて、NBAのバスケユニフォームのフォントは細部に様々な違いがあります。いくつかの点に注目することでその違いを見ていきましょう。
フォントに「セリフ」はあるのか
セリフと言っても、お芝居の台本に書いてある台詞(せりふ)のことではありません。セリフ(serif)とはアルファベットの書き始めなどにある、ひげのような飾りのこと。セリフ付きフォントは長い文章にしても目が疲れにくいので、文章によく使われます。
左がセリフ付きフォント。右がセリフのないフォントです。
では、セリフ付きの書体を使っているNBAのユニフォームを見てみましょう。まずはニューヨーク・ニックスのユニフォームから。
ニューヨークの文字がセリフ付きの書体で書かれるといかにも伝統あるチームといった雰囲気を感じます。
シカゴ・ブルズのユニフォームも同様。ニックスと比べて少し細い線を使っています。とてもクラシカルな字体ですね。
ゴールデンステート・ウォリアーズのユニフォームの文字にもセリフがあります。ステフィン・カリーの背番号の「3」のところにはっきりと爪のようなものがありますね。ウォリアーズのロゴは非常に目立ちますが、フォントはとても落ち着いていますね。ウォリアーズはここ数年で急に強くなりましたが、実は創設は1946年。70年以上の歴史を持つチームなのです。
セリフがない書体のことを「サンセリフ」と言います。「サン」は太陽ではなく、フランス語で「~がない」という意味。記事の見出しやポスターに使われることが多いフォントです。
オクラホマシティー・サンダーのユニフォームはサンセリフ系統のフォントを使っています。
ボストン・セルティックスも太さが均一な文字を採用しています。
クリーブランド・キャバリアーズもやはりサンセリフ。
この書体は全体的にセリフ付きよりもすっきりした感じになることが多いですね。線の太さはほぼ均一。文字間隔を詰めると空間がほとんどなくなってしまいます。
伝統あるセルティックスがサンセリフを採用していますが、セリフの付いた書体は歴史あるチームのユニフォームに多いようです。サンセリフのフォントや、セリフの形状に工夫を加えた独特のフォントを好むのは、NBAの拡大にともなって加盟した新興のチームですね。ウルブズやメンフィス・グリズリーズはその典型です。
グリズリーズのフォントは中抜きのような形で文字の中心に細い線が入っています。
文字の太さと縦横の比率
さて、セリフの有無はユニフォームの印象に影響を与えますが、同じような書体でも文字の太さや縦横の比率が違えば自ずと違った雰囲気が生まれます。
ブルックリン・ネッツはチーム名、選手番号ともに細身の線で書いています。白と黒のモノトーンカラーとも相まって洗練された都会的な雰囲気になっていますね。同じニューヨークを本拠地とするニックスが太いフォントを採用しているので、差別化を図っているのかもしれません。
同じサンセリフでもミルウォーキー・バックスのユニフォームに使われた書体の方が太くて重厚。文字間隔も狭めですね。
サクラメント・キングスは独特のフォントを使っていますが、文字が太くてインパクトがあります。文字そのものに視線を引きつける力があるので、チーム名を強調したいときにはこのようなフォントが有効でしょう。
縦横の比率は全体的に縦長のフォントが主流です。スパーズやウォリアーズのチーム名は縦横の比率が同じくらい。文字が正方形の中に収まるような感じです。
中編に続く
NBA バスケユニフォームのフォント 各チームの特徴 | 中編
ページビジュアル wikipedia より